その一言が、家庭を地獄に変えるトリガーに
「ねえ、私の(俺の)あれ、どこに行った?」
家の中で、当たり前のようにこの言葉を使っていませんか?
もし、これを「単なる日常のコミュニケーション」だと思っているなら、非常に危険です。その認識が、すでにあなたの家庭を地獄に変え始めています。
この問いかけを、相手をコントロールするための「武器」として放った瞬間、あなたはすでに「イエローカード」――すなわち、家庭という安全圏を壊し始める境界線に立っています。
「探し物」を装った、パートナーへの攻撃
もし、その後に少しでも以下のような感情や言葉が続くなら、それは紛れもない「レッドカード」であり、精神的DV(モラハラ)です。
「あなたが片付けないから、なくなるんだ」
「家にいる(あるいは、私のほうが忙しい)んだから、把握して当然だろう」
「どうしてこんなこともできないんだ」
「手は出していないからDVではない」という勘違いは、今すぐ捨ててください。
これは単なる探し物ではありません。自分の管理不足という「自分の人生の責任」をパートナーに肩代わりさせ、さらにその相手を攻撃する「精神的搾取(相手の心を、無償で使い倒す略奪行為)」です。どちらが外で稼ぎ、どちらが家事や育児を担っているかは関係ありません。自分の不始末の責任を相手に転嫁した瞬間、対等なパートナーシップは崩壊し、加害と被害の構造が完成します。
かつての「普通」は、今の「暴力」
もちろん、あなた一人だけが悪いわけではないのかもしれません。
かつての日本では、こうした主従関係に近い役割分担が『美徳』とされた時代もありました。あなたはただ、その古い価値観(脚本)を忠実に演じてきただけかもしれません。
ですが、時代は変わりました。かつての『普通』は、今の『暴力』です。
古い脚本を握りしめたまま、沈みゆく船に乗るのか。それとも、時代の変化と共に自分をアップデートさせるのか。その分岐点に、今、あなたは立っています。
「専業主婦(夫)なんだから当然だ」という名の精神的虐待
ここで、「相手は専業主婦(夫)で、家事が仕事なんだから当然だ」と考えたあなた。その思考こそが、深刻な加害の根源です。
相手が専業主婦(夫)であっても、あなたの私物を管理する義務はありません。
専業主婦(夫)は家事や育児という役割を分担しているのであり、あなたの「召使い」でも「管理ロボット」でもありません。「誰のおかげで生活できていると思っているんだ」という経済的背景を盾に、相手の尊厳を奪い、自分の不始末を棚に上げて責め立てる行為は、明確な「経済的・精神的虐待」です。
役割分担を「支配の免罪符」にすり替えていないか、今一度胸に手を当てて考えるまでもありません。あなたは確実に、役割分担を支配の道具に悪用しています。
あなたは、パートナーを「お母さん」にしていませんか?
22年の臨床現場で私が目にしてきたのは、こうした「大人の皮を被った子供」の全能感に苦しむ人々、そして無意識にパートナーを「お母さん(お父さん)代わり」にしてしまう人々の姿です。
子供には「自分のものは自分で片付けなさい」と教えるのに、なぜ大人のあなたは、自分の持ち物をパートナーに管理させて当然だと思えるのでしょうか?
あなたは、パートナーを愛する対等な存在としてではなく、「自分の不始末を処理し、不快を取り除いてくれる都合の良い装置」として扱い、搾取しているのです。
「知ってる?」という問いに、支配が混じった瞬間
ここで、自分を振り返ってみてください。
純粋に「あれ、どこにあるか知ってる?」と聞き、自分で探そうとするのは健全なコミュニケーションです。しかし、そこに「相手が知っていて当然だ」「知らないのは相手の落ち度だ」という傲慢さが1ミリでも混ざっていれば、それはもはや質問ではなく「支配」です。
自立した大人のアサーティブ(適切な自己主張)とは、「私は今これが見当たらなくて困っている。もし知っていたら教えてほしい」という、自分の困りごとを分かち合う対等な姿勢にあります。相手を「お母さん」にして問い詰めるのか、一人の人間として「協力」を仰ぐのか。その差は、想像以上に大きいのです。
今までの生き方を終わらせる「再決断」の時
「相手がやってくれて当然」という思い込みを握りしめている限り、あなたが本当の意味で人を愛せる日は一生来ません。
今、あなたに突きつけられているレッドカードは、「今までの生き方をここで終わらせろ」という死刑宣告に近いサインです。
22年、臨床の現場に立ち続けてきて確信しています。今必要なのは、うわべの反省ではなく、自分自身の人生を根底から書き換える「再決断」です。
相手を支配し、依存することでしか自分を保てない「幼児性」をもう、ここで卒業する。自分の人生の全責任を、自分自身で引き受ける。この決意をしない限り、たとえ相手が誰に入れ替わっても、あなたはまた同じ略奪を繰り返します。
あなたは今日、そのレッドカードを直視し、新しいだけど本来の自分へと、向き合い、生き直す勇気はありますか?






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