目次
愛着と愛情は別ものです
「愛着の問題」と聞くと、多くの方は「愛情不足」と誤解されがちです。
ですが、愛着と愛情は異なる概念です。
この記事では、その誤解を丁寧に解きほぐし、親子の真の絆や幸せな関係性について、わかりやすくお伝えします。
愛着とは?
「愛着」という言葉は、近年では心理や教育に関心のない方も耳にする機会が増えてきました。
しかし、かつては、『愛着の問題』は、極端な家庭環境や過酷な過去を持つ子どもだけの問題と認識されていました。
私がカウンセリングを始めたころも、そうしたケースがほとんどでした。
これは私の経験則にもとづくのですが、パケット放題に始まり、スマートフォンの普及とともに、親子関係や心の問題が変化してきたと感じています。
それに伴い、愛着のカウンセリングが必要なケースも増えてきています。
ちなみに、「愛着のカウンセリング」と聞いて、「愛情がなかったのか」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。でも、どうぞご安心ください。
愛着と愛情は、実は別のものです。
社会の変化に伴い、私たちの心も変わってきており、今では「愛着障害」という言葉も広まりつつありますが、その背景には単なる「愛情不足」だけでは説明できないさまざまな状況があるのです。
皆、愛着の問題は大なり小なり持っています。
そんな愛着の問題。
愛情が足りなかったのかと言うと、そうではありません。
愛着は、甘えであり、母と子の一体感になります。
子供との関わり方
親子のスキンシップは、愛情を伝えるだけでなく、お互いの絆を深める大切な基本です。
昔は、「ふわふわの寝床」や「柵の付いたベッド」など、安心して眠れる環境を整えることも、子どもへの愛情の表現の一つと考えられてきました。
それは決して、愛情が足りないからではありません。むしろ、子どもへの深い思いやりと安心感を育むための大切な行為だったのです。
ただ、今の私たちは、より良い関わり方も知っています。
それでも、多くの親御さんは「子どものことを想っているのに、どうしてうまくいかないのだろう?」と感じることもありますね。
実は、あなたのその思いはとても自然で、愛情豊かな証です。
例えば、「これが良さそう」「こうしたら心地よさそう」「笑ってくれた」などの思いは、子どもへの深い愛情とケアの表れです。
ただし、【愛着の観点】から見ると、その関わり方には気をつけるポイントもあります。
なぜなら、子どもはただ「愛情をもらう」のではなく、「安心して自分を出せる」場所を必要としているからです。
より良い関わり方とは、子どもが自分の気持ちや感情を自由に表現できる土壌を育むことです。そのために、ただの愛情表現だけでなく、子どもが心から安心できる安心感の土台づくりが大切です。
愛着は母と子の一体感で、わかりやすい事例が2つあります。
第2次世界大戦後のスイス生まれの精神科医、ルネ・スピッツが行った乳児院での実験になります。
今だっだら、行ってはいけない様な実験で、第二次世界大戦直後に戦争孤児となった乳児55人を、最高の設備を備えた施設に入れ、訓練された乳母や看護師が生きる上で必要な食事や衛生管理などの世話は行うけど、『抱く』などのスキンシップは一切行わずに育てられました。
結果として55人いた乳児の内、27人の子供たちが2年以内に死亡。残りの子どもたちも17人は成人を迎える前に亡くなったそうです。
残りの11人の子供たちは成人後も生き続けたのですが、多くに知的障害や情緒障害の症状がみられました。
もう一つの同じような恐ろしい実験が、
神聖ローマ帝国の皇帝フリードリヒ2世(1194~1250)によって行われています。
人間の言葉をいっさい聞かずに育った子は、人類の根元語を話すに違いない。と思い50人の赤ちゃんを養育させることにしました。
- そのとき赤ちゃんに
- 話しかけたり
- あやしたり
- 機嫌をとったり
- 愛撫したり
しては絶対にいけないとの命令でした。
入浴や食事など生命維持に必要なことは行いますが、人間的接触を禁じました。
その結果、
50人いた赤ちゃんは、3歳までに49人が死亡。
6歳に最後の1人も死亡。
そんな実験だったそうです。
非人道的で考えただけで恐ろしい実験です。
こうした研究から、人間には他者との触れ合いや安心感が欠かせないことが明らかになっています。
スキンシップやコミュニケ―ション、とても大切です。
それに、子どもの脳は肌にある(山口創先生著書)と云われていますが、一体感って大切です。
その一体感、肌の触れ合いやコミュニケーションという愛着の観点から見るとよろしくないということになります。
同じ接し方で良いわけでもない
それに二人の娘がいて、同じようにやってたけど、上のお姉ちゃんには愛着が根付いて、下の子に同じ様に関わったのに根付かない。という事もあり得ます。
その子にとって最適な関わりになります。
本題に戻りますと、愛着の心の問題を、愛情がないからと誤解しないで下さい。
愛着のカウンセリング
そんな、愛着はカウンセリングできないと言われていました。
それが、愛着について書かれた岡田先生の本「不安型愛着スタイル」でご紹介頂いているように、インナーチェンジングセラピーは愛着のカウンセリングも行えます。
愛着と関係する安心感や、安全ですが、もう少し想像しやすい様に、私たち人間を木だと思ってください。
愛着は地面、土壌になります。 そんな土壌がグラグラしていたら、嵐や台風(大きなストレス)に晒されたらどうなりそうですか?

あなたのこれからの人生を、安心、安全に過ごせる様に、サポートする愛着のカウンセリングです。







ルネ・スピッツの実験についての出典を教えてください。
ルネ・スピッツの実験についての出典を教えてください。
お待たせいたしました。
ご関心をお持ちいただき、ありがとうございます。
ルネ・スピッツの孤児院の実験についての出典は、彼の著作や学術論文に詳しく記載されています。
特に、代表的な研究論文や著書『子どもの心の発達と養育』などに記録されていることが多いです。
また、児童心理学に関する著作『Childhood and Adolescence(子どもと青年期)』や、研究が記された論文『The Development of the Human Paradigm(人間のパラダイムの発展)』なども参考になります。
これらは心理学や発達心理学の学術誌や出版物に掲載されています。
資料の入手方法としては、次の方法がお勧め致します。
・Google Scholar(https://scholar.google.com/)などの学術検索エンジンで、タイトルや著者名を検索し、無料で全文にアクセスできることもあります。
・大学や公共の図書館のデータベースを利用すれば、より多くの資料にアクセス可能です。
私のブログでは、要点をわかりやすくまとめておりますので、ご興味がおありでしたら、上記の資料や論文も参考にしていただければ幸いです。