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心に寄り添う受容・共感
受容共感って、とてもシンプルな考え方です。
私が学び大切にしているのは、「自分の価値観や考えを話さずに、相手の本当の思いや気持ちを、その人以上に理解しようと努力すること」です。
こうした在り方を心がけることで、クライアントさんは安心して本音を話しやすくなります。
そして、「受容・共感」とは、シンプルに言えば、「相手の話や感情を、そのまま感じ取って伝える」になります。

もちろん、技法があります。それは、繰り返しや質問、感情を受け入れる、明確化などの技術です。
でも、それだけでは本当の信頼は築けません。
最も大切なのは、カウンセラーの価値観を話さないで、「そのまま理解し、受け入れる」という原則だと思っています。
価値観とは?
日常での価値観
例えば、こんな場面があったとします。研修や会議についての話です。
「対面とZoomのどっちが良いかな」と言っていて、「ZOOMは楽だけど、対面の方が仲良くなりやすい。」と答えたりすることはないですか?
日常では問題ないやり取りです。でも、カウンセリングでは違います。
もし相手は、「人が多いと苦しい」と心の中で感じているのに、「対面の方が良い」と言ったらどう思うでしょうか?
「わかってる。それが苦しいんだよ。」と思われるかもしれません。相手の気持ちに寄り添えていません。
「価値観を話さずに、相手の気持ちを理解し続ける」これが大事なのです。
あ、少しわかりにくい事例ですかね・・・
失恋の話をしたときに『次があるよ』と言われるより、『つらいね』って言ってもらった方が楽になる。
こっちの方が分かりやすいですかね。

カウンセラーが価値観を話さない為に

私達は長年、練習や研修を重ね、ロールプレイング(バイザー”教える人”のまえでカウンセラー同士でカウンセリングする)や、カウンセリングを受けたりしています。
『クライアントさんは10回で楽になるより、8回や5回で楽になるなら、そっちの方が良い。(安い方が良い)』というのもカウンセリングに影響する私の価値観だと気付くことになった私の受けたカウンセリングの実録や、それがカウンセリングにどのような影響をあたえ変化したかのコラムは、執筆中です。
そうした中で、「自分の価値観や考えを話さずに、相手の本当の思いや気持ちを、その人以上に理解しようと努力し続ける」ことが、信頼できる支援の土台になると実感しています。
あなたが、なかなか人には話せない事や、どうにかしたいけどという時に、守秘義務に守られたあなたの心の声に寄り添う場所があります。
お気軽にご相談ください。
あなたの心の声に耳を傾け、より楽に、より幸せに過ごされる事を願います。
価値観を話さないという原則について【専門家向け】

なぜ、価値観を話さないことが大事なのか?
この原則は多くの心理療法やカウンセリングの理論で強調されている点です。
例えば、ロジャースの人間性心理学では、「クライアントの自己探索と自己成長を促すためには、カウンセラーの価値観や判断を介入させず、純粋に受容的な態度を保つことが必要」とされています。
これは、「無条件の肯定的な配慮(Unconditional Positive Regard)」や「共感的理解」を実践するために、カウンセラーの価値観や先入観を排除することが重要だと考えられています。
エビデンスに関しては、ロジャースの臨床研究や理論的な著作において、「カウンセラーの価値観を差し控えることで、クライアントはより自由に自己表現でき、自己理解や変容が起きやすくなる」と述べられています。
また、セルズニックやエリクソンといった他の著名な心理療法家も、「カウンセラーはクライアントのペースと内容を尊重し、自己の価値観を持ち込まないことが信頼と安全を生む」としています。
背景として、ロジャースは「カウンセリングはクライアントの内面からの成長を促すものであり、そのプロセスにはカウンセラーの価値観や判断を介入させてはいけない」と明言されています。
これは、クライアントが自分の内なる声に耳を傾け、自らの答えを見つけることを促すためになります。
ここまでは知識としてですが、カウンセリングをしていてこれは本当だと痛感しています。
それに、プロフィールに書いているロジャース最後の弟子村山先生が、繰り返し訴えられていたことにもなるのですが、カウンセリングをさせて頂ければ頂くほど身に染みるので、少しでも広がるように。
その様に願っています。
この姿勢は、「セルフ・トランスフォーメーション(自己変容)」の最大の鍵とされ、安心・信頼の土台を築きます。
参考文献
- ロジャースの「クライアント中心療法」(Client-Centered Therapy)
- 主著:「On Becoming a Person」(ロジャース, 1961)
- 内容:ロジャースは、カウンセラーの価値観や判断を差し控えることで、クライアントが自己の内面から変化を促進できると述べています。特に、「無条件の肯定的配慮(Unconditional Positive Regard)」と「共感的理解」の実践は、カウンセラーの個人的価値観を排除した受容的態度に基づいています。
- ロジャースとボウズ(Rogers & Boucas, 1971)の研究
- 論文:「The Necessary and Sufficient Conditions of Therapeutic Change」
- 内容:セラピーにおいて何が必要で十分なのかを調査したもので、カウンセラーの価値観を排除した純粋な受容と共感の重要性が示されています。この研究では、セラピストの態度の純粋さがクライアントの変化を促すと結論づけられています。
- セルズニック(Carl R. Rogersの弟子の一人)の「カウンセリングの基本原則」
- 著作例:「Counselor Effectiveness and Client Response」
- 内容:セルズニックは、カウンセラーの個人的価値観を意識的に排除することで、クライアントが自分自身の真実に近づくことができると述べています。
- エリクソンの臨床実践(Milton H. Erickson)
- 内容:エリクソンも、「クライアントの自己決定権を尊重し、カウンセラーの価値観を前面に出さないアプローチ」を重視しています。
これらの文献では、カウンセラーが自己の価値観をなるべく持ち込まない態度や、その効果について科学的・実証的に議論されています。
もし詳しく知りたい!深く学びたいという場合は、以下の書籍や論文も参考にしてください。
- 「ロジャース著『人間性心理学の理論と実践』」
- 「Rogers, C. R. (1957). ‘The necessary and sufficient conditions of therapeutic personality change.’」を基にした論文
- 「Carl R. Rogersの著作集」や「クライアント中心療法の最新研究論文」
まとめ:私が受容・共感の視点からカウンセリングで大切にしているポイント
- 自分の価値観や判断は話さず、相手のありのままを理解し伝える。
- 技法だけでなく、「どう在るか」の心の在り方を大切にする。
- それにより、安心できる場所と信頼関係を築き、本当の自己表現を促す。
もし気になったら、お気軽にご相談ください。
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